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文系デニムヘッドが考える科学の話(ジーンズが色落ちする仕組み)

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ジーンズ、及びデニム生地は科学の粋だ。

物理的な耐久性、工学的な生産性で製造されたジーンズは穿くたびに化学的に反応し、その変化が可視化される。

なのにほとんどの人は社会学的な文脈でしかジーンズを消費できていない。

つまり、パンツ一丁で外に出て逮捕されないために、仕方なくジーンズを穿いているということだ。

 

パンツ一丁は言い過ぎだとしても、「なぜジーンズを穿いているのか」と訪ねた時に予想される返答は「流行ってるから」「無難だから」「カッコイイと思ったから」とかそのあたりになってくるだろう。

科学的な側面に一切目が向けられていないのだ。コスパ主義にまみれた、少ない対価で大きな効果を得ようとするさもしい現代社会が浮き彫りになる。

そのようにジーンズが消費されているのを見ると、今一度、ジーンズは穿いている時にどういう変化をしているのか、我々の皮膚の上でどのようなことが起こっているかをきちんと認識しておくべきだと思ってしまうのだ。

 

まあ、別に、俺はカッコイイから穿いてるんだけどね。

 

この記事の大半は経験による実感に基づいている。

同条件下で行う実験や、化学式を用いたようなガチ科学というよりは、信憑性はあるけど原因はハッキリしていない民間療法みたいなものだと思って欲しい。

 

色とは

光と色 

皆さんは虹を見たことがあるだろう。あれが色の正体だ。

これはピンクフロイドのダークサイドオブザムーンのジャケットだ。

 

光には7色が同時に存在する。この光をプリズムに通してやると7色が綺麗に別れる。

虹も同じ現象だ。渾然一体となっている7色が空気中の水分を通過してバラバラに区分けされることにより起こる。

 

しかし普段は全部の色が同時に見えている。

だから何にも通過していない・反射していない光は白く見える。(オススメしないけど太陽直接見ると白いじゃん?そういうこと。)

 

この白い光がものに当たったりものを通過するときに、吸収され屈折し、人間の目に届く。

人間がものを見るというのは、様々なものに反射するなかで吸収されずに残った光が目に届いているということなのだ。

 

黒い服は夏に着ると暑くてたまったもんじゃない。

これは光をほぼ全色吸収しているからだ。

一方白い服は比較的涼しい。

これは光をほぼ全色反射しているからだ。

 

例えばジーンズは、赤や黄色や緑などの光を吸収する一方で紫や青の光を反射する性質がある。

すると、赤い色の光はジーンズに吸収され、青い色の光が人間の目に届く。

これが、「ジーンズが青い」という現象だ。

  

写真で困ること

ジーンズの撮影には苦労する。色味の再現が難しいからだ。

上で書いた「7色の光」はあくまで太陽光の話だ。蛍光灯や、白熱電球などの光源は色味のバランスがそれぞれ違う。

なので、同じジーンズでも違う光源で見たりすると、まったく違う色で見えるのだ。

 

元も子もないことを言うと、太陽光で撮ったジーンズが一番きれいだ。

「普段見慣れている色味」でのジーンズの色味の再現が、おそらく多くの人がきれいと思うだろう。

上:明るい日陰で撮影/下:白熱灯で撮影

青色の光が少ない白熱灯では、ジーンズの持つ青味が表現しにくい

 

じゃあ太陽光ならなんでもいいかというとそうではなくて、直射日光がバッチリ当たるところで撮影すると、いらないところに影ができたり白飛びしてしまったりする。

これはジーンズが強い光を吸収しきれずに反射させてしまうからである。

だから、ジーンズを撮影する場所は「明るい日陰」をオススメする。

 

インスタグラみが大事なインスタグラマーのみなさまは参考にして欲しい。

WEARはどこで撮っても一緒だな。アイテムと体型しか見られてないから。 

 

参考リンク:

色とはなんだろう 色が見える仕組み(4): 光と色と

色の基準は太陽光 色が見える仕組み(5): 光と色と

 

ジーンズは何色なのか

ジーンズが何色なのかはその状態によって大きく異なる。

リジッドデニムなど、できあがった状態で加工などがされていないものは黒、紫、濃い青だ。それが次第に色落ちし、アイスブルー、水色、白となる。

この変化が、ジーンズの染料であるインディゴの剥離によるものであることはこれを読んでいるみなさんはご存知のことだろう。

 

上記の、「光を吸収する物質」がインディゴであり、このインディゴがなくなっていくことによって黒っぽい色味から白っぽい色味に変化していくということになる。

 

インディゴ

 一般的にブルージーンズに使用されている染料で今では「藍」の主成分を人工的に製造した合成インディゴが一般的に使用されています。
またインディゴはそのままでは不溶性なため、顔料として使うこともあります。染色の際はインディゴをアルカリ剤と還元剤を用いることで一旦溶かし染めます。その後インディゴは空気に触れることで酸化 し青色に発色します。 染着力が弱く、染色を繰り返すことで濃色になります。

染料について| Laundry Manual | ues


 

インディゴ染料は水に溶けにくく、生地にもつきにくいということだ。

だから、何度も繰り返し染めて徐々に濃色にしていく。

 

ジーンズの色落ちにとって特に重要になるのが、この何度も繰り返し染めるという点だ。

買った当初はほぼ真っ黒の濃色のジーンズも、時間とともにインディゴが徐々に繊維から抜けていき、爽やかな青色に変化していくのは、何度も繰り返し染められているからだ。

逆に言うと、何年もかけなきゃ剥がれないようなインディゴを糸一本の中に定着させている職人さんスゴイということなのだ。

 

インディゴを含んだ生地の摩耗

デニムに使われる綿糸は芯白で染められているため、糸の外側が摩耗してしまえば芯の白い部分がむき出しになる。

この摩耗は生地に均一には発生せず、アタリのように外側に突出している部分や、特に擦れる部分に強く表れる。

このため、他の生地では見られないグラデーションのような色落ちになる。

 

普通のカラーチノなども、染色されている以上は必ず色落ちする。

しかし、そういう商品は落ちているか落ちていないかしかない1か0の色落ちだ。

ジーンズの場合は何回も繰り返し染めるというインディゴ染めの特性のおかげで100から0の表現ができる。

だからこそ、ジーンズの色落ちは他の製品と違い、色落ちそのものが着目されるのだ。

 

インディゴ自体の剥離

インディゴは繊維への定着が弱く、また油性なこともあり、水や洗剤によって容易に繊維から剥離する。

新しいジーンズの色移りに注意しなければならないのはこのためだ。インディゴが繊維の持つ容量いっぱいに「載せられている」ため、こすったり濡れたりするとすぐに他の繊維に移ってしまうのだ。

 

色落ちのコントロール

これらインデイゴの特性を把握した上で色落ちをさせたい/させたくない場合にどのような対処をすればよいのか。

cte26533.hatenablog.com

色落ちを最小限に抑えるためには洗わないことだ。それでもアタリの色落ちは避けられない。

洗うときだけでなく、普段から使えるライフハックなどはないものだろうか。

 

 

洗濯するときに塩や酢を混ぜると色落ちを抑えられる

hena.ohah.net

kumiko-jp.com

gssmboy.hatenablog.jp

 

洗濯でジーンズの色落ちをなるべく抑えたい場合は、を混ぜるといい。

というのは塩はインディゴの定着を強め、酢はアルカリ性洗剤の侵入を防ぐからだ。

 

塩はインディゴの定着性を向上させ、洗濯の際に剥離するインディゴを少なく抑える。

酢を混ぜた水は、糸の中心まで染み込み、内側からアルカリ性洗剤の効果を中和・無効化することによって色落ちを防ぐ。しかし油汚れや皮脂汚れは生地の表面、糸の外側についているから、洗剤の効果できれいに落とせるというわけだ。

 

間違えてはいけないのは、洗剤を入れて洗濯機を回す前に、酢を混ぜた水にジーンズを少し浸しておかなければならないということだ。

洗剤と一緒なタイミングで入れたら全部が中和して意味がなくなってしまうぞ。

 

ジーンズを頻繁に洗いたいけど色落ちを避けたい、ジーンズを他の衣服と同レベルに清潔に保ちたいという理由でアルカリ性洗剤を使う場合は酢と塩を大さじ1杯ずつ混ぜて洗濯。

なるべく洗わないで、しかも洗濯の際もデニム用洗剤とか中性洗剤を使用する場合は塩のみを大さじ1杯混ぜて洗濯。

という感じか。 

 

 湿気で色落ちは加速する

www.heddels.com

 

Heddelsという英語圏でのジーンズ色落ち業界トップサイトの記事。

11個の色落ちを早くする方法が記載されており、半分ほどがジョークなんだか本気なんだかわからない方法だ。

そのトピックの一つに「タイに移住する」とある。

メッチャ暑くてクッソ湿気があるのは、ジーンズを穿くのには最悪だけど色落ちにとっては最高な環境だ。

 

ということは暑さを我慢してジーンズを穿けば通常より早い色落ちが得られるということだ。

これはジーンズに付着した水分や汗によってインディゴの生地への定着が弱くなるからだろうなーと俺は思う。

 

でも早く色落ちさせたいなら加工されたものを買うのがいいのでは...?

 

糊付けされたジーンズ

俺は洗わないジーンズの臭い対策の一環として、アイロンがけをしている。

2週間に一回くらいのペースだ。

cte26533.hatenablog.com

 

昨日もアイロンを掛けててふと思ったのは「これってジーンズ全体に糊を満遍なく行き渡らせていることになるのかな?」ということだ。

アタリがついて糊が剥がれてしまったようなところでも、高温のアイロンで周囲の糊が溶け、薄く生地に広がっていくとしたら、既に色落ちが発生しているような箇所にも、再度糊付けをすることになる。

リジッドデニムの色落ちが遅いのは、生地の表面に糊があることでインディゴの剥離が最小限に抑えられているからだ。 

 

なんか色落ちが遅いような気がしていたけど、このせいなのか…?

これに関してはまだ疑問の段階。

 

 

曖昧な科学

以上、科学的な裏付けなどがされていない科学の話でした。

別に人が死んだりするわけではないので、経験で好き勝手に物を言おう!

 

cte26533.hatenablog.com