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「ミレニアルズ」は次のキーワード!!

予言するけど「ミレニアルズ」という言葉がそのうちテレビかなんかで話題になってあっというまに消費されていくことになる。これは悲報だ。なぜかというと本来大切にされるべきカルチャーが経済のためのキーワードになることで本来の意味を失っていたずらに消費されることになるからだ。

 

ミレニアルズとは

「ミレニアルズ」とは何なのか。本来は世代をくくって指す言葉だが、文脈によっておおよそ次のような意味を持つ。

 

・1980〜2000年生まれ。

デジタルネイティブ世代。

・リベラルで、多様性を許容する個人主義

・環境に配慮すること、大きな経済に頼らないこと、オシャレなことが良しとされる。

・セルフィーやアプリやデジタルデバイスに抵抗がない。

・ミレニアルズより上の世代にはことさら奇異に映る。

 

幼少期からデジタル化された生活に慣れ親しみ(デジタルネイティブ)、ほとんどの人が日常的にインターネットを使いこなしているため、それまでの世代とは価値観やライフスタイルなどに隔たりがあるとされる。新千年紀が到来した2000年前後か、それ以降に社会に進出する世代という意味が込められている

ジェネレーションY - Wikipedia

 

要は、デジタルネイティブ以降に発生した価値観を是とする世代のことだ。

 

ミレニアルズの価値観

概念が新しすぎて、「何が楽しいのかわからない」ものを積極的に楽しもうとする人は若者か、若者に取り入ろうとしている人だ。既存の概念では理解されず、「流行るわけねーだろ」と一蹴されてきたiPhoneSNS、セルフィー系のアプリ、恋愛系のアプリ、ユーチューバー。それらは今、わりと大きな市場になっているし、既存の市場を食いつぶすというよりも下の世代をいち早く取り込んで今までのコンテンツにどんどん置換されている。

僕もね、最初HIKAKINさんが小学生に囲まれてる写真を見てね、ネットでは「YouTuberって所詮子供しか見てないんだなww」みたいな文脈で叩かれてたんですけど、僕はそれを見て逆に恐ろしかったんですよね。だって、子供にこんなに支持される大人っていないじゃないですか。
子供達がこんながっつり心を掴まれてね、この子達が今後大学生とか大人になって、お金を持ち始めたらとんでもないな、って。

www.uuum.co.jp

 

一方で、環境に配慮するとか差別をしないとかは誰にとっても当たり前で、好き好んで環境を破壊しようとしたりレイシズムを振りかざす人は一部のおかしい人だというのが共通認識だ。共通の認識ではあるんだけど世代や文化圏によって深度がぜんぜん違う。この二つへの認識は、すごくその人の意識が出る。

 

たとえば環境に配慮してるオジサンがいるとしよう。ペットボトルをリサイクルのために専用のゴミ箱に入れ、キャップもきちんと外す。水を出しっぱなしにしたりしないし、低燃費で排ガスの少ないエコな車に乗る。全く環境にやさしいオジサンだ。

ところが彼が勤務先では「ちょっとこの製品のコスト高くなりすぎだな。売上の回収ではカバーできなくなってくるし...ここはコストカットだな。A社はなんか環境にいい製法でやってるから高いんだっけか。品質も良かったし付き合いも長かったけど、これを機にB社に変えるか。なんかタンクにドクロマークあったけど関係ないね。俺が使うわけじゃないし、こっちだって生活がかかってるし」と、環境もへったくれもないことを言い出す。

 

差別に関してだって同じことが言える。外国人への差別をなくそうというというのでヘイトスピーチや部落や黒人差別を想像するのはすごく幼稚で、今求められているのは相手の価値観を尊重して配慮することステレオタイプな見方をやめることだ。具体的に言うと、中東系の人のために会社に礼拝用の施設を設けたり、中東系だからと言って礼拝のことをしつこく尋ねないことだ。そう。これらの重要な二項目は矛盾していて、そのバランスを場合によって取る必要がある。ある世代以上の人はこのバランスをとるのが見ていて恥ずかしくなるくらい本当に下手だ

 

・ミレニアルズは新しいコンテンツを積極的に楽しむ。

・ミレニアルズは仕事においても、環境問題や差別問題に敏感。

 

こういう性質はミレニアルズの文化であり根幹をなすものだし、新世代の常識でワールドスタンダードなのだ。

これが日本においては彼らの理念とか意思とかは一切認められず、単なるマーケティングワードに早変わりし、ステレオタイプによる消費のゴリ押しがなされる。要は、「今、ミレニアルズの間で大流行!」みたいな文脈で使われてしまうのだ。

 

サードウェーブの失敗

今まで日本で根付かずに消費されてしまった文化の代表はサードウェーブコーヒーだ。いや、根付いてはいるんだけど、ほとんどの人はそれをサードウェーブだと意識してはいないし、もっというと一番売れてるのはサードウェーブ「風」のコーヒーだ。

アメリカでサードウェーブコーヒーとして成功していたブルーボトルコーヒーが日本に上陸した際、真っ先に関心を向けたのは熱心なコーヒー愛好家ではなくインスタグラマーだった。彼らが長蛇の列を我慢して並んだのはうまいコーヒーを飲むためではなく、なんかオシャレなカフェのなんかオシャレなロゴとかなんかオシャレな菓子を写真に収め、サムアップをもらうだった。

kitsune-com.hatenadiary.jp

 

しかも彼らは当時流行していた消費傾向と一緒くたにされて「サードウェーブ男子」と名付けられ(全然流行んなかったけど)「ていねいなくらし」や「ミニマリスト」を巻き込みながら盛大に空回りしていく過程で本来の意味を失っていった。

しかし本当にトレードオフコーヒーとか農地指定(メーター単位で区切って指定して買い付ける。日当たりなんかが違うから)とか細かいこと、いわゆるサードウェーブ的なことをやっているカフェはサードウェーブという看板はあまり掲げないし、インスタグラマー向けの装飾過多な感じもない。

実際サードウェーブを掲げた際に来る客層を想定した時、

「ブルーボトルも上陸したことだし、そろそろ番組で紹介してみるか」というメディア側も、

なんかよくわかんないけどサードウェーブがいま来てるらしいよ。オシャレでインスタにあげたらいいねたくさんつきそうじゃない?」という消費者側も、

経営する上では邪魔でしか無いということが店側もわかっているのだろう。

サードウェーブ的な経営をしている店というのは「分かる人だけが来てください」という感じで結構そっけない。いや、オシャレだし若い人もちゃんと来てるよ?でもインスタ人気だけでいえばスタバのほうが圧倒的に強いのだ。

 

ミレニアルズの消費ワード化計画

今でこそミレニアルズ的な消費傾向に企業が擦り寄って、なんとかハッシュタグをつけたり、インスタ映えさせたり、ていねいに職人が一本一本編み込んだり、環境に配慮しようとしたりしている。あざとく若者に取り入ろうとしている。ところが、これがテレビに紹介されてキャズムを超えると企業は急に舵を切り出し、

「ミレニアルズのみなさん!これが今ミレニアルズでは大流行なんですよ!すぐ買いましょう!」

「君、まだそんな古い機種なの?本物のミレニアルズならコレ!セルフィーボタンが付いたミレニアルフォン!」

「新発売!ミレニアルクッキー!食べないやつはインスタ禁止!」

「環境にやさしい人は皆使ってるよね?大好評!ミレニアルつまようじ!レインボーカラーでLGBTも支援しちゃおう!」

とかそういうことになるのは容易に想像できる。

こと日本においてはカルチャーなんてのは消費の1ジャンルでしかなくて、焼畑農業的に絞り尽くしたら次のカルチャーに移行するようなものなのだ。若者がそれに熱中してライフスタイルの軸に据えるなんてことは絶対にない。日本式のライフスタイルに期間限定で組み込まれるだけなのだ。そして味がしなくなったガムみたいに捨てられる。環境にやさしいとか、LGBTを支援するとか、女性を登用するとか、フェアなトレードで世界に羽ばたくとか、全部口ばっかりなのだ。

以下のリンクで紹介されているようなスタートアップ以外は、環境とかポリティカルコレクトなんかよりも結局は自分の懐事情が大事なのだ。

heapsmag.com

 

上の世代の価値観をそのまま受け入れている人

毎年毎年、政府で働いてメチャメチャ給料をもらっているエラいオジサンは、額を突き合わせて喧々諤々の議論の末、新入社員のタイプを例える

新社会人は毎年必ずこのエラいオジサンたちに、「我々オジサンは正しい、新入社員は何も分かってないカス」「我々エラいオジサンが、バカな新社会人を正しく導かなければ、あいつらは路頭に迷っちゃうからなあ」みたいな態度でスゲー上から評価されるのだ。

新入社員の特徴とタイプ(過去一覧)

 

要は、日本の消費経済を握っている(と思いこんでいる)エラいオジサンたちは「ここはひとつ若者に歩み寄ってやろうかしらね」くらいでマーケティングを行う。それに対して日本の若者も「ハイ!貴重なお話に感謝いたします!」と紋切り型で配慮のある返答しかできない。どちらも面倒だから思考停止しちゃっているのだ。

本来ミレニアルズがする回答は「うるせーな、老害が考えたダッサイマーケティングじゃ本当にヒップなやつには売れないよ。そんなしょーもないのに釣られるのはフォロワーの数でしか物事を判断できないガキだけだって。こっちはこっちでうまくやるんだから口挟んでくるんじゃねーよ。あとジジイも基本的にターゲット外だから」くらい言ってやらないといけないと思うのだ。

togetter.com

本当にどうなのかはわからない。ミレニアルズで既に成功しているような人は、実はうまく老害に取り入って自分の懐を温めているのかもしれないし、それとも物事を判断できないガキにターゲットを絞って懐を温めているのかもしれない。

 

でも俺はカルチャーとしてミレニアルズの本質を維持するためには、オジサンとか、大きな経済に舵とらせちゃうのは良くないと思うんだ。上の世代の価値観なんか、何の意味もないんだから(だってあいつら未だにバブルがサイコー仕事がサイコーとか言ってんだぜヤバすぎだろ)無視していけばいいと思うのだ。じゃないと、単なるオシャレワードとしてあっという間に消費されていくことになるだろうから。